ロボットのセンシング性能を強化

スマートロボットは産業自動化のみならず各家庭でも重要な役割を果たしつつあります。繰り返し作業や危険な作業を人に代わって行うことができ、時間とコストを節約するとともに、安全性と柔軟性をもたらします。スマートロボットは、生産ライン(自動車メーカーなど)における従来型のロボットアームから、物流現場で使用される移動型ロボット、いわゆるAGV(自動搬送車)やAMR(自律型移動ロボット)、さらには清掃や在庫監視、収穫などの多くの専用機能を提供する高度なサービスロボットまで多岐にわたります。実際、最も急速に成長している最大の市場は、掃除機や芝刈り機などの住宅用サービスロボットです。

ams OSRAMの小型センシングとイルミネーションのソリューションは、ロボットのパフォーマンスと精度を高め、よりスマート化するための最高の選択肢です。そのポートフォリオは、障害物検出、衝突回避、ナビゲーション目的の環境センシングから高精度なポジション制御まで、ロボットに不可欠なすべてのセンシング機能を網羅しています。リチウムバッテリー搭載機器のバッテリ管理システム(BMS)は、充電状態やバッテリー健全性について最高クラスの予測を可能にする当社の高精度I/V/Tセンシング製品から恩恵を受けることができます。

さらに、当社の包括的なポートフォリオは、光学式フォースセンシングや温度センシング、および材料の分類や識別、または水分レベル検出向けのスペクトルセンシングといった特殊なサポート機能も網羅しています。当社のよく知られたマルチレンズアレイ(MLA)プロジェクションソリューションは、ロボットがこれから行う動作を床に投影する機能などにより、人間と機械の共存や協働環境を強化する新たな可能性を開きます。これは、衝突が発生していないのにロボットが安全停止状態に追い込まれる、いわゆるコリジョンアーチファクトの発生率を大幅に低減することができます。

この技術がより成功を納めれば、ロボットが変化の激しい環境をより理解してやりとりできるようになります。センサ、LED、レーザーで構成される独特のラインアップ以外にも、ams OSRAMはスマートサーフェスソリューションやロボット機能を進化させ差別化させるアルゴリズムなど、独自のイノベーションロードマップを追求しています。

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移動型ロボット

移動型ロボットは、自動搬送車(AGV)または自律型移動ロボット(AMR)とも呼ばれ、自動化においてますます普及が進んでいます。これは主に、特に協働環境でのナビゲーションと安全アプリケーションにおいて、物体認識と衝突回避に信頼性の高い3D画像処理を可能にするビジョンベースの技術が利用可能になったことによるものです。使用されるビジョン技術は、専門に設計されたカメラに依存しています。これらは、空間的に分離されたベースラインのイメージセンサモジュール(ステレオビジョン)とレーザーまたはLEDベースの同期されたシーン照明で構成されているか、事前定義された高解像度のドットパターンを観測されたシーン上に投影するレーザードットプロジェクションモジュール(ストラクチャードライト)と組み合わせた単一のイメージセンサで構成されます。両方の技術を組み合わせたものは、「アクティブステレオビジョン」と呼ばれます。ステレオビジョンでは、2台のカメラ間のピクセル三角測量により、スキャンされたシーン全体の3D深度マップの計算が可能です。ストラクチャードライトの場合、事前定義された投影パターンの観測された平面歪みから3D深度マップが導き出されます。

当社は3D画像処理技術で豊富な経験を有しており、VCSELベースの投光イルミネータやドットパターンエミッタプロジェクターから近赤外光または可視光スペクトルのイメージセンサまで、革新的なコンポーネントを提供しています。優れた光学効率と電力効率が、他とは一線を画す当社のVCSELイルミネータとプロジェクションモジュールの特徴です。非常に小型のカメラ設計を可能にする高量子効率の小さなグローバルシャッターイメージセンサは、優れたS/N比と優れたエネルギー効率で、最高クラスの光学性能を提供します。カメラベースの3D環境センシングソリューションは、プライバシーの制約や、追加の画像処理インフラストラクチャによる設計の望ましくない複雑化のため、実行可能なオプションではない場合があります。そのような場合、ams OSRAMの統合された拡張性の高いマルチゾーンダイレクトタイムオブフライト3Dスキャンモジュールが違いを生み出すかもしれません。これらのセンサが提供するオンチップで前処理された3Dヒストグラムデータは、移動型ロボットのナビゲーションエンジンに直接入力することができます。また、これらのセンサを複数組み合わせることで、所望の視野に容易に拡大できます。

そして、これらの移動型ロボットシステムは、特に協働環境において、強化されたヒューマンマシンインターフェースから恩恵を受けられる可能性があります。ロボットが人間の行動に反応するだけでは、望ましくないコリジョンアーチファクトの発生につながる可能性がありますが、ロボットがこれから行う動作をより直感的に示すことで、人間がそれに応じて準備することが可能になります。このような場面で、ams OSRAMの革新的なプロジェクションソリューションは、移動型ロボットアプリケーションに真の違いをもたらす可能性があります。ロボットと人間のインタラクションをより透過的にすることで、衝突の可能性が大幅に減少し、その結果、ロボットのいわゆる「安全停止」イベントを最小限に抑えることができます。

Mobile robots
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定置型ロボット

定置型ロボットは、ピックアンドプレース、溶接、組立など、生産現場における製造作業をより迅速に実行します。高度なビジョンベースのソリューションと併用することで、ロボットはより複雑なタスクをこなせるようになり、より高い柔軟性が提供され、さまざまなタスクで活用できるようになります。

すでに移動型ロボットで見られるように、2Dまたは3Dカメラソリューションと高度な画像処理を組み合わせることで、求められる精度と画質を得ることができます。ams OSRAMのグローバルシャッターイメージセンサは、動きが原因で生じるアーチファクトの存在しない高画質の画像を取得するという課題を克服します。

定置型ロボットの新しいトレンドは、人間と密接に連携したり、人間のすぐそばで安全シールドにより隔てられることなく動作する、最新の「コボット」です。製造におけるコボットの導入には、信頼性の高い衝突検出、あるいは衝突防止さえも必要となります。高性能なビジョンソリューションは、それを実現し得る要素ではありますが、通常はロボットのワークセルの外側に取り付けられるため、最終的な設置時には別途安全性評価が必要となります。より高度なセットアップでは、ロボットアームと取り扱われるワークピースの正確な位置に対して、安全上重要となる物体や人間の存在を感知するために、(例えば)ロボットのソケット周辺にマルチゾーンのタイムオブフライトセンサのセットを実装することができます。このような構成では、ロボットの実際のアーム位置を正確に認識する必要があります。ams OSRAMの非接触型位置センサは、ロボットの関節システムの直線または角度位置を感知・制御するために理想的な高分解能ICソリューションを提供します。さらに、位置センサは、特にモーターの始動時と停止時に正確なローター位置データを提供することで、モータードライブによるトルクと速度のより正確な制御を支援します。

最後に、ピックアンドプレース作業における物体検出は、ビジョンシステムを材料分類のためのマルチチャンネルスペクトルセンサと組み合わせることで、さらに強化することができます。色や形状は同じで、材料だけが異なるワークピースのセットアップを想像してみてください。ams OSRAMのセンサは、物体のスペクトルの特徴を読み取ることができ、物体の識別を容易にします。

Stationary robots
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家庭用ロボット

家庭用ロボット(主に、掃除機ロボットやロボット草刈機)が近年人気を集めています。これらのロボットは、産業用移動型ロボットのコンシューマー向けバージョンであり、通常はより低速で動作し、コストが最適化されています。.移動プラットフォームは、真空掃除などの専用機能によって拡張されます。重量が軽く、速度が遅いため、環境センシングのための走査領域は、プロ用のシステムに比べて狭くなっています。多くの場合、前方視界用のステレオビジョンまたはストラクチャードライト画像処理と、側面や階段などの段差検出用の床向きの障害物感知用タイムオブフライトセンサモジュールが組み合わされます。ロボットのサイズが小さいため、携帯電話の充電ケーブルのような小さな物体でも障害物になる可能性があり、確実な検出を必要とします。

革新的なコンセプトは、スペクトルセンサによるフロアスキャンです。スペクトルセンサは、異なる床のタイプ(カーペット、寄木張りのフローリングなど)の区別が可能なだけでなく、ウェットクリーニングが必要な場合は、異なる水分レベルを測定することもできます。このセンサは観測された床のタイプと床の状態に応じて、カーペットであればブラッシングまたは掃除機がけ、フローリングであれば拭き取りなど、異なる動作をトリガーすることができます。 

ams OSRAMの光学およびスペクトル技術は、こういった課題の最前線で、堅牢な太陽光耐性などの細部から、絶対的な精度や小型バッテリーでの長時間稼働を可能にする低消費電力といった大局的な項目まで、あらゆる面をカバーしています。センサにまつわる主な課題は、解像度、精度、範囲、消費電力です。 

Household robots
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