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ピクセルアレイ 

フラットパネル検出器(FPD)で最も精密な箇所はピクセルアレイです。これはアプリケーションに応じて数センチメートル(歯科X線撮影)から数十センチメートル(胸部X線撮影)にわたる、長方形または正方形の空間です。

アレイには数千ものピクセルが配置されています。要求される空間解像度に応じて、各ピクセルは数十または数百マイクロメートル四方の正方形となっています。

X線画像が撮影されるたびに、ピクセルアレイはごく短期間、少量の放射線照射を受けます。ピクセルはこの照射を収集し、読み出されるまで保存します。各ピクセルはフォトダイオードとスイッチで構成されます。フォトダイオードが主なコンポーネントであり、衝突するX線から電荷を生成します。ここで説明した通り、直接変換または間接変換を用いて実装できます。

ピクセルのもう一つの要素はスイッチです。通常は、ディスプレイ産業から導入した技術である薄膜トランジスタ(TFT)で構成されます。または、インジウム/ガリウム/亜鉛/酸素化合物(IGZO)を使用してスイッチを構成することもできます。TFTよりも高い性能を発揮するこの最新技術は、将来的にFPDで普及が進むことが期待されています。


 

フラットパネル検出器(FPD)の読み出し方法

FPDは制御トレースと信号トレースのグリッドを備えています。それぞれの制御トレースは特定の列に沿ってすべてのピクセルスイッチのゲートに接続されており、それぞれの信号トレースは特定の行に沿ってすべてのスイッチの出力ノードに接続されています。各ピクセルでは、スイッチの入力ノードがフォトダイオードに接続されています。そのため、スイッチを使用してフォトダイオードを信号トレースに接続できます。

ゲート制御ラインが電子的に有効にされると、すべてのスイッチがオンとなります。これでフォトダイオードと対応列のピクセルが該当する信号トレースへ接続されます。これで、衝突するX線から放出される電荷が、読み出しノードへ流入します。各列を順にオンにすることで、システムはすべての列を1つずつ読み出します。プロセス終了時には、FPDはすべてのピクセルアレイを読み出しています。これで、ピクセルアレイは別のX線画像を取得することができます。

この読み出し方法を実装するため、FPDでは2つの集積回路(IC)が重要な役割を果たします。リードアウトIC(ROIC)とゲートドライバーICです。 

リードアウトICはピクセルアレイの片側に配置されています。最大級のFPDではリードアウト速度を速めるため、両側に配置される場合もあります。入力は信号トレースとなります。ROICは通常はマルチチャンネルデバイスであり、256ラインを処理します。各チャンネルには読み出しラインからの電荷を収集して増幅するアナログのフロントエンドが備えられています。統合されたアナログ-デジタル変換器(ADC)が続いてピクセルに衝突するX線から放出されたエネルギーに相当するデジタル出力を生成し、コンピューターでさらに処理できるようにします。

ピクセルアレイの側面で、ROICのアレイと直角にゲートドライバーICが配置されています。これらは制御ラインを駆動し、ピクセルの各列に沿ってすべてのスイッチを有効または無効にできます。TFTスイッチをオンにするには比較的高い電圧が必要なため、ゲートドライバーもそうした高電圧を扱う必要があります。さらに、様々な電圧レベルを素早く切替え、ROICの動作を不安定にしないよう、低ノイズの出力を生成しなければなりません。

性能パラメータ

最終画像の画質、つまり医療診断の正確さは、FPDの持つ複数のパラメータに依存します。ROICとゲートドライバー両方のパフォーマンスは、こうしたパラメータのほとんどに影響します。そのため、高性能を発揮するよう設計製造されたICを選ぶ必要があります。高性能を得るために最も重要なパラメータは次のとおりです。

  • 特定のX線エネルギーに対する検出器の感度。これにはフォトダイオードの量子効率が上げられ、間接変換の場合は、シンチレータの効率も含まれます。
  • 空間解像度(ピクセルのサイズにも依存)。これはROICとゲートドライバーの開発にとっても難しい課題です。チャンネルを必要なピッチに合わせて十分に小さく設計しなければなりません。
  • 読み出し時間。特に、1秒あたりのフレーム数(すべてのピクセルマトリクスの読み出し)を高める必要のある動的なアプリケーションで要求されます。ICはこうした速度に追いつけるだけの高速性が要求されます。読み出し時にラインを変換する時間はライン時間と呼ばれます。
  • 画像ノイズ。ノイズが高いほど、細部を再現する能力が下がり、明瞭な画像を得るために患者へ照射されるX線の量が増えます。ICが追加するノイズは、検出器自体のノイズに比べて微量に抑えなければなりません。
  • 消費電力。これは電力コストのみならず環境に対しても影響を与えます。また、バッテリー駆動される携帯型のFPDにおける実使用時間と、バッテリーのサイズやコストにも関わってきます。


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