デジタルX線撮影システムの仕組み
デジタルX線撮影(DR)システムは、歯科医、手術、乳房X線撮影などの医療分野で広範に利用されるスキャナの一種です。身体の臓器や部分をDRスキャンすれば、骨格やその他の体組織など、高密度の物質の2D画像が取得できます。
医療DRシステムは、X線管とフラットパネル検出器(FPD)で構成されます。身体でスキャンする部位を、管と検出器の間に配置します。管を通して放射されるX線は身体を通過し、FPDが減衰したX線の光子を取得します。
FPDは感度が高く、小型軽量で、大きな範囲で正確な画像を提供するため、放射線医師の間で好評を博しています。 高感度はすなわち高品質の詳細な画像を比較的少量の放射量で取得できることを意味し、患者と放射線医師の両方に対するリスクを低減します。FPDは小型軽量なため、空間が限られるX線撮影の設備にスキャナーを搭載し、患者と画質の両方を最適な状態に保つため、スキャナーの位置と傾斜角を調整しやすくなります。FPDが生成する正確で詳細な画像を使用して、医療関係者が骨折、乳がん、虫歯などをより明確に診断できるようになります。
デジタルX線システム内のX線フラットパネル検出器(FPD)
FPDはピクセルと呼ばれるセンシング要素のアレイ、読み出し集積回路(ROIC)と呼ばれる関連の電子回路およびゲートドライバーで構成されています。柔らかな組織、骨、血液はそれぞれX線による減衰特性が異なるため、スキャナーでは身体の各部がピクセルアレイで検出された信号の相対強度として表示されます。ROICが電子信号をデジタル出力へ変換し、バックエンドのコンピューティングシステムへ転送されます。モニターへ表示したり印刷できるよう、コンピューターがデジタル信号出力を画像へレンダリングします。 FPDは衝突するX線を電気信号へ変換するために、間接的または直接的な手法を用います。間接検出器は、X線を可視光へ変換するシンチレーション素材の層を内蔵しています。シンチレーターの背後には、光を電気信号へ変換するフォトダイオードのアレイが配置されます。フォトダイオードピクセルのアレイは、カメラの画像センサのコンセプトに類似しています。高密度のピクセルが高解像度の画像を生成し、わずかな特徴でも鮮明かつ明瞭にレンダリングされます。 直接変換を採用するFPDでは、フォトダイオードは衝突するX線光子を直接的に電荷へ変換する素材で構成されています。そのため、この種のFPDはシンチレーターが必要ありません。直接変換FPDは通常、間接検出器よりもぼやけが少なく、より高い空間解像度を達成します。 直接変換と間接変換FPDのどちらも、薄膜トランジスタ(TFT)のアレイを備えています。アレイは各ピクセルを対応するROICチャンネルへ接続し、電荷からデジタル出力への変換を行います。これらのTFTはピクセルを1列ずつ有効にするゲートドライバーで制御されており、取得されたX線画像をローリングシャッターの原理でFPDから読み出せるようにします。
フラットパネル検出器に搭載されるams製品
amsはFPD用に正確な低ノイズのROICを開発するにあたり、高度なミックスシグナル半導体技術を採用しています。ROICはフォトダイオードのアレイが生成したアナログ信号を増幅し、FPDで演算を実行するバックエンド回路へ送信されるデジタル出力へ変換します。
FPD向けの標準製品として供給されるamsの最新読み出しICは、16ビット/256チャンネルの電荷-デジタル変換器、AS5850Bです。高速性と低ノイズを組み合わせ、画質を最適化して放射量を最小限に抑え、同時に動的なアプリケーションでの画質を高めています。超低消費電力のため、バッテリー駆動される携帯型のFPD機器での使用にも適しています。 amsはまた、X線機器の世界的な大手メーカーへ、特定用途向けIC(ASIC)としてゲートドライバーも提供しています。
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